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心の病気あれこれ

「治療可能な認知症」 番外編

昔、80歳代の女性が息子さんに連れられて私の外来にきました。 息子さんが言うには、日がな一日、ぼーっとして会話もなく、全く元気がなくなってしまったと。 朝早くから夜遅くまで畑仕事をしていた人が考えられない。 「先生、母親、ぼげだんでないか」と心配そうに、情けなさそうに、こっちを見ていました。 一般採血と胸の写真、頭部CTをとってみたところ、心臓がかなり腫れていました。 超音波検査では心嚢液(心臓を包む膜状の袋にたまる液。心臓が滑らかに動くのに必要。)が多量にたまっていました。 利尿剤を処方して様子を見ていましたが、よくならず、最近、特に寒がりになったり、身体のだるさを訴えるようになったと言うので採血したところ甲状腺ホルモンが低下していました。 ホルモン剤を飲み始めたところ劇的に心嚢液が減少し、外来で普通に会話を交わすようになりました。 息子さんに喜ばれましたが、私はかなり驚きました。 こんなに薬って効くものかと。

又、昔、70歳代の女性が息子さんに連れられて私の外来にきました。 息子さんが言うには「母親が毎日昼の弁当を作ってくれるんですが、この2週間全く同じおかずの弁当なんですよ。 どう考えても、おかしいと思いませんか。」母親はニコニコして聞いている。 「先生、母親、ぼげだんでないか」頭のCTとってくれと言われましたのでさっそくとって見たところ左前頭、頭頂部に血腫(血のかたまり)ができていて、脳室(脳の中の部屋)は左から右に著明に圧排されていました。 「転んで頭打たなかったか?」に「一ヶ月ぐらい前に自転車で転んだみたいだ。年だからもう乗らないでとたのんでいたんだがな。」それを聞いて患者さんは相変わらずニコニコしていました。 脳神経外科に紹介し血腫除去後、元気になって帰ってきました。

前者は甲状腺機能低下症、後者は慢性硬膜下血腫です。 共に治療可能な認知症です。 上記の2症例のように原因がわかる疾患ならまだ幸です。 しかし、大部分の認知症はいまだ成因も十分に解明されておらず、治療法もまだ確立されていません。

2050年には65歳以上の高齢者に対し認知症患者の数は700万人にも上ると推計されています。 できるだけ住み慣れた環境で自分らしく暮らしていくためには、多くの人の理解と援助が必要と思います。 明日は我が身と感じつつ、お互いを思いやる気持ちを持ちながら、患者さんたちと手をたずさえて令和の時代を進んでいきたいものだと思います。

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